【何年ぶりだろう?GWの息吹を感じに、新緑の伊吹山を歩く】#96

サムネイル ハイキング

GW前半、雨がちな天候が続くなか、合間に晴れ予報の日が❗️
すかさず山行計画を練るが、たまには観光ハイクも良いのかと思い、伊吹山へ。
伊吹山ドライブウェイを経由し、スカイテラス伊吹山で車を停め、1~2時間の散策含め山頂を目指すルートを選択。観光ハイク要素が大きいのだが、トレッキングシューズはしっかりと履いていく。

現在も続いている2023年7月の大規模な土砂崩れによるハイキングルートの規制、ルートを問わず全面的に利用禁止(通行禁止)となっている。山頂までのルートは、スカイテラスに車を停めて、そこからしか山頂を目指すことしかできないのが現状である。

登山アプリをみていると、利用禁止(通行禁止)となっているルートでの記録があることにビックリ😦
“自己責任”と記録では書かれているのだが、結構なリスクである。
追って、ニュースで取り立たされている「規制期間中の富士山への入山」と類似する法的抑止力について記述したいと思う。



名神高速道路_関ヶ原ICを下りて、国道365号線を経由し伊吹山ドライブウェイ入口へと向かう。
道中、戦国時代の歴史的名所を示す看板があちらこちらに。大河ドラマ「豊臣兄弟」にハマっている著者には勉強を兼ねてゆっくりと名所巡りをしたい思いである。そんな歴史街道を抜けてドライブウェイ入口に。
信号を右折した時点からすでに車の列が。営業時間8時~となっており20分ほどの待機、その間も車が続々と列を成していく。

ここには一度訪れたことがある。2021年5月の春、それも結構な雨の中とりあえずスカイテラスまで向かい、新調したレインウェアの機能テストのため山頂まで向かう。その時に珍しい光景に遭遇できた。「鹿追」である。スカイテラスから入山規制がかかっており、到着した時間帯は「鹿追中」で入山できなかった。規制解除まで待っていると激しく鳴く猟犬と共に猟師さんらが2頭ほどの鹿を引きずりながら下山。興奮している猟犬をなだめる人、軽トラックに鹿を運び入れる人など、初めて見る光景に自身も興奮気味。この伊吹山が鹿害による環境破壊に直面していることを知ることとなる。

話を戻すが、
8時になり開門、料金を支払いスカイテラスに向かう。総延長17kmもワイディングロード。
道幅もあり走りやすいが、正直道のりは長い(さすがに疲れる)標高差1,200mを縮めるにはそのぐらいの距離が必要なのかもしれない(料金所の標高177m・スカイテラスの標高:1,226m)
あと、通行料金も割高なイメージを持ってしまった(ドライブウェイの維持管理に役立てていただきたい)


他県・他山のスカイライン事情はどうなのか?調べてみた。

伊吹山ドライブウェイ富士スバルライン
河口湖~富士山五合目
総延長17.0km23.6km
直線距離(料金所~)6.4km(9合目まで)6.16km(5合目まで)
標高差1,197m1,217m
通行料金(軽・普通自動車)3,400円(往復)2,800円(往復)


一定の標高が必要なスカイライン、標高差と直線距離の値を合わせる形で富士スバルラインを選定しており、無料及び有料でもマイカー規制に伴うシャトルバス運行のスカイラインは除外。

比較結果より、1,200mの標高差を縮める自動車道では、結構な距離を稼がなければ成立しないことがわかる。
注)道路法・道路整備特別処置法なども考慮していない考えである。また料金の差は運営団体が民営or公営によるものと推測できる。





駐車場に到着。
雲ひとつない快晴☀
最高のコンディションである(ただ風が強い)

スカイテラス伊吹山駐車場






目指すと言っても、観光ハイク。
ゆっくりと景色を眺めながら、写真を撮り、春の花々を愉しむ。
登りは「中央登山道コース」、下りは「西登山道コース」

散策マップ
🟩出典:「伊吹山ドライブウェイ」公式サイトより


9.5合目
🟩雲ひとつない空、透き通る碧天
木段
🟩整備された木段
(以前に比べると、植物が増えたような。保全活動ご苦労さまです)
モノレール
🟩突然、無人のモノレール






山頂は強い風、地平線沿いに雲が張り付き残念ながら各所名峰は望めない感じである。
台形状で山頂部が拓けているために山小屋(売店)が点在している。強風のため冷え切った身体を温めるために一軒の売店でホットコーヒーをいただいた。
売店内は観光客で賑やかな雰囲気、外国人客も多く見られ、ココは「手軽な百名山」春の息吹を感じるには絶好の場所である。

伊吹山_山頂
🟩伊吹山山頂
三角点探すの忘れてた💦
遠くに大きめの山
🟩遠くに大きめの山、なんだろう???
眼下に琵琶湖
🟩眼下に琵琶湖
売店
🟩定員さんは、モノレール通勤?
害獣対策
🟩害獣対策
開けたら、必ず閉める。
北アルプス方面の展望
🟩今日は残念ながら見えませんでした









今も続く崩落による登山道通行止め


鹿害が地盤を崩壊させたメカニズム

元々、伊吹山は「花の百名山」として知られ、多様な高山植物や豊かな草地が広がっていました。しかし、十数年前からニホンジカが急増したことで、以下のステップで山の保水力が失われていきました。



① 植物の食い尽くしと「裸地化(らちか)」
増えすぎたシカが、伊吹山の貴重な高山植物や草地を食べ尽くしてしまいました。植物がなくなった斜面は緑を失い、土がむき出しのシカだらけの状態(裸地化)になりました。

② 植物の「根」によるホールド力の喪失
本来、山の斜面は草木の「根」が網の目のように土壌に張り巡らされることで、土や岩をガッチリと繋ぎ止める役割(天然のネット効果)を果たしています。草木が死滅したことで、土壌を繋ぎ止める力が根底から失われてしまいました。

③ 踏圧(とうあつ)による土壌の劣化
シカの群れが急斜面を行き来することで、蹄(ひづめ)によって地面が激しく踏み固められたり、逆に脆い斜面が削り取られたりしました。これにより、雨水が土に染み込みにくくなり、表面を水が流れやすい状態に変化してしまいました。

④ 集中豪雨による一気の流出
地盤の保持力と保水力が極限まで低下していたところに、2023年7月の集中豪雨(その後2024年にも複数回発生)が直撃しました。
雨水を蓄えられない斜面は一気に崩壊し、6合目から8合目付近の登山道を巻き込む大規模な土砂崩れ(土石流)へと発展してしまったのです。

崩落が発生した南側斜面(左:2016年 右:2023年) 出典:Google Earth

かつて青々としていた南側斜面は、現在、岩肌が露出し痛々しい姿になっています。米原市や地元のボランティア団体、YAMAPなどの山岳コミュニティが協力し、以下のような懸命な復旧・復元プロジェクトが今も進められています。



急増するニホンジカ

ニホンジカが急増した背景には、人間の活動や環境の変化が複雑に絡み合っています。主な原因は、「天敵の不在」「積雪量の減少」「人間の社会変化(狩猟者の減少と農山村の過疎化)」の3つに集約されます。具体的には、以下のような要因が重なった結果、シカにとって「爆発的に増えやすい天敵なしのパラダイス」が生まれてしまいました。

天敵(ニホンオオカミ)の絶滅
かつて日本の生態系において、シカやイノシシの増えすぎを抑える頂点捕食者がニホンオオカミでした。
しかし、明治時代までに人間による駆除や狂犬病などの流行によってオオカミが絶滅して以降、日本の野生動物の生態系には「シカを捕食して数をコントロールする大型の哺乳類」が完全にいなくなってしまいました。

② 地球温暖化による「冬の生存率」の大幅な向上
昔は、冬に大雪が降ると野生のシカはエサ(地面の草)にありつけず、多くの個体(特に子鹿や体力の弱い個体)が冬を越せずに命を落としていました。これが自然の人口(個体数)抑制メカニズムになっていたのです。
しかし、ここ数十年で温暖化が進み、冬の積雪量が激減しました。その結果、冬でもエサが食べやすくなり、餓死するシカが減って冬を越せる生存率が劇的に跳ね上がりました。

③ 猟師(ハンター)の減少と高齢化
オオカミがいない現代日本において、実質的にシカの数をコントロールする唯一の「捕食者」となっていたのが人間の狩猟者(ハンター)でした。
しかし、過疎化や高齢化、趣味としての狩猟人気の低迷により、全国的に猟師の数が全盛期の数分の一にまで減少。シカを捕獲する圧力が一気に弱まってしまいました。

④ 耕作放棄地の増加と「過疎化」
農山村の過疎化が進み、人が手入れをしなくなった「耕作放棄地(荒れ果てた畑や草地)」が全国で急増しました。人里近くの耕作放棄地は、シカにとって「身を隠しやすく、栄養価の高いエサ(雑草や残された作物)が豊富にある、最高の繁殖場所」になってしまったのです。かつてのように人が山を頻繁に行き来しなくなったため、シカが人里や山の境界線を越えて自由に行動できるようになりました。

天敵がおらず、冬に死なず、人間にも捕まらない環境になれば、計算上はわずか数年で数倍、十数年で十数倍へと雪だるま式に個体数が増えていくことになります。伊吹山をはじめ、全国の山々で起きているシカの急増とそれに伴う環境破壊(食害・土砂崩れ)は、こうした複数の要因が重なり合った結果引き起こされたものなのです。
狩猟免許更新時に講習の先生が「皆さん解禁日になったら、害獣駆除に参加してください」と熱弁されていたのを思い出しました。



規制区域での山行リスク


規制区域内での山行リスクについて考えたいと思います。

まず刑罰や罰則での法的抑止力、山全体を法律で完全に封鎖して「入ったら即逮捕・罰金」にするのは法的に非常に難しいのが実情です。
伊吹山の麓からの登山道規制は、主に自治体(米原市など)や地元の保存会などが「安全確保(二次災害防止)」のために要請している「協力依頼(自粛要請)」の側面が強い。法律(道路法や警察による災害区域設定など)に基づく一律の罰則付き規制ではないため、立ち入っただけで警察に逮捕されたり、罰金を科されたりする直接的な法的ペナルティは原則ないに等しい。
「入ることを禁じた場所への立ち入り(軽犯罪法)」や「建造物等侵入罪」を適用するには、そこが明確な私有地であり、柵やロープ等で完全に囲まれている(囲繞地)必要があり、山林は所有者が入り組んでおり、明確な境界線が引きにくいため、法的な罪に問うのはかなり困難となっている。

実際に規制区域での山行を決行する方々はこういったことをよく理解されていると感じる。ですので著者も完全否定はしない立場ではあり、一言でいうと「マナー的要素」で抑止力につながっていると感じています。

もう一点、規制区域での「リスク」である。
これはスタイルにもよるが、爽快で、肌身で自然に触れ合い、楽しめるスポーツである登山、その裏返しに潜む、「危険な行為・行動」であることのリスクをどういった形で回避していくのかで、安心・安全な山行が愉しめると思います。
その中でも「山岳保険の適用外になる可能性が非常に高い」ことだと思っています。

各保険会社の約款を閲覧してみたが、「規制区域に入って、遭難・侵害・賠償を起こしても、補償しませんよ」とは記載されていません。
非常に含みをもたせた、曖昧ととれる記述となっています。

YAMAP保険・モンベル保険

「故意または重大な過失・犯罪行為: 保険契約者または被保険者の故意、重大な過失、あるいは犯罪行為によって生じた傷害には保険金が支払われません」
「故意または重大な過失: 保険契約者または被保険者の「故意または重大な過失」によって生じた傷害や事故に対しては、保険金は支払われません」


ココヘリ

「ココヘリが提供する捜索および第2次救助(地上救助)の実施は、以下の条件に左右されます。
対象エリアの制限: 捜索活動が可能なエリアは、当社(ココヘリ側)が「捜索可能と判断した山岳エリア」に限られます」

「法令違反の禁止: 「法令に違反する行為または犯罪行為に関連する行為」は禁止事項です」



これってどうなの???
日本の法令って、憲法~規則まで階層がありますが、どの法令が適用されるのか?
案件(事象)により協議されるのであろう。

万が一のことを考えると、この曖昧なリスクを抱えながら規制区域での山行はちょっと心配ですね。
技術がある、体力がある、最高の装備を準備している、これらでリスクは低減できるでしょう。ただリスクゼロにすることはできません。
一歩踏み出す前に、愛する人や愛してくれる人が家で待っていることを考えてみてはどうでしょうか。






【出典】
 ・Google Earth
 ・「伊吹山ドライブウェイ」公式サイトより
 ・「YAMAP」公式サイトより
 ・「モンベル」公式サイトより
 ・「ココヘリ」公式サイトより