【比良山地を歩く】武奈ヶ岳から池塘・湿原・廃スキー場跡まで(#108)

八雲ヶ原の池塘と木道、奥に旧比良山スキー場のゲレンデ跡(比良山地) 自然・遺構探索

琵琶湖の西岸に、南北およそ20kmにわたって連なる比良山地。
最高峰は武奈ヶ岳(1,214m)。
京阪神から電車でも車でも行きやすく、関西の登山者にとっては馴染みの深い山域です。ただ、私にとっての比良は「武奈ヶ岳の山」ではありません。池塘があり、湿原があり、そして今はなきスキー場の跡がある山域です。
これまで14回、比良山地を歩いてきました。北比良、南比良、奥比良、リトル比良。それぞれで見てきたものを、この記事にまとめておきます。




比良山地は、滋賀県の琵琶湖西岸に連なる山地です。東は琵琶湖、南は和邇川、西と北は安曇川によって区切られ、南北約20km、東西約15kmの広がりを持ちます。南は比叡山へ、北は野坂山地へとつながっています。最高峰は武奈ヶ岳(1,214.4m)で、日本二百名山のひとつ。山域の大部分は琵琶湖国定公園に含まれています。近江八景の「比良の暮雪」で古くから知られる場所でもあります。



比良山地は、一般に4つのエリアに分けて呼ばれます。

呼称範囲の目安主な山
北比良釈迦岳~堂満岳一帯釈迦岳、堂満岳
南比良蓬莱山・権現山一帯蓬莱山、打見山、権現山
奧比良安雲川側(西側)蛇谷ヶ峰、白滝山
リトル比良釈迦岳以北の標高500~700mの尾根岳山、岩阿沙利山







比良山地を語るなら、まずはここから。
山頂は360°パノラマ絶景が広がっており、眼下の琵琶湖、滋賀県・三重県の山々、遠く北アルプス(白馬岳※ちょっと自信ない)まで望見することができます。
2回ともに「西南稜コース」からのトライ、なんせ初っ端のつづら折り急登で体力も気力もやられる😭
季節を変えて2回登っています。2回目は雪山、息子は犬のようにはしゃいでいた。

比良山地の最高峰へ挑む ~滋賀県・武奈ヶ岳~(#65)
比良山地の最高峰・武奈ヶ岳へ。山頂からは琵琶湖と滋賀・三重の山々、遠く北アルプスまで見渡せる360度の展望が広がります。ただ下山の終盤、膝痛で踏ん張れず浮石に足をとられ、谷側へ約7m滑落しました。登山口が見えた直後の油断についても。
【早春の比良山系。武奈ヶ岳の雪渓に刻む、春を待つ一歩】~武奈ヶ岳~(#93)
滋賀県・武奈ヶ岳を3月初旬に往復した記録。夏なら5時間半のピストンが、残雪のため8時間かかりました。御殿山を越えたあたりからアイゼンが必要な深さに。初めてアイゼンを使う息子との山行で、事前のサイズ確認の大切さも痛感しています。






北比良峠を中心とした一帯で、比良山地でもっとも人の手が入っていた場所です。かつてはロープウェイとリフトが通り、スキー場がありました。「北比良峠」辺りは平原が広がっており、なんせ気持ちがいい。テント泊しながら、眼下の“琵琶湖夜景”を見下ろすのも最高です(未実施のため想像)



山の中腹、標高およそ約900mに広がる高層湿原。関西では珍しい地形で、「関西の尾瀬ヶ原」と呼ばれることもあります。木道は老朽化で通行できない箇所も。初めて訪れた時は「え?まじ!」って感じで見惚れる?呆然?標高900mにこんな湿地帯があるの???それも楽園チックな感じ!が初見の感想でした。そこからハマっちゃいましたね。おまけに人工物らしき遺構もチラホラと。

関西の尾瀬ヶ原と呼ばれる湿原 ~八雲ヶ原湿原~(#66)
滋賀県・比良山地の八雲ヶ原湿原へ。「関西の尾瀬ヶ原」と呼ばれる高層湿原で、規模は小さいものの近郊でその雰囲気を味わえます。木道は通行できない状態でした。北比良峠に広がる人工的な広場は何だったのか、という疑問も残ります。
関西の尾瀬ヶ原と呼ばれる湿原 ~八雲ヶ原湿原_2~(#66_2)
比良山地の八雲ヶ原湿原、北比良峠から先の後編。池は2面あり、透明度の高い方ではヤゴやアメンボが見られました。ぬかるみと池にはアカハライモリの群生が。滋賀県レッドデータブック2020年版では要注目種とされています。



比良山スキー場を辿る ~釈迦岳~八雲ヶ原~(#68)
旧比良山スキー場の跡地を、釈迦岳から八雲ヶ原湿原へ実際に歩いて辿った記録。施設はほぼ撤去され自然環境への復帰が進むなかで、わずかに残る人工物を探しました。標高1,000m弱の山中に広がる高層湿原も。



標高500m弱の位置に現れる「ノタノホリ」
そのナタノホリにいった記事ではなぜか“金糞(カナクソ)”について取り上げています(なんでやね~ん)

【誰もいない池面は秋の装い】=堂満岳~ノタノホリ=(#87)
比良山地の堂満岳(1,057m)からノタノホリを巡る8.1km・標高差855mの周回。あわせて「金糞(カナクソ)」という地名の由来を、金糞岳と土倉鉱山の記録から辿りました。金屎=製錬時のカスを指す語で、比良側にも鉄脈があったとする説を紹介します。

ノタノホリについては、比良山域に点在する池溏・高層湿原の特集を組んでいる下記事からご参照ください。

【夏真っ盛り!比良山系縦走!のはずが???】~滋賀県・権現山~小女郎ヶ池~(#83)
滋賀県・権現山からホッケ山を経て蓬莱山を目指す途中、稜線から偶然見つけた小女郎ヶ池(こじょろうがいけ)。1977年の文献「比良の詩」をもとに、比良山地に点在する池塘9箇所(八雲ヶ原・スゲ原・オトシ・ノタノホリ・音羽池・カシラコ池・杉ヤ池・長池)の位置と現在の姿を整理しました。






小女郎ヶ池は、比良山地の池塘のなかでもっとも知られた存在。なのだが著者はしらんかった~😅

【夏真っ盛り!比良山系縦走!のはずが???】~滋賀県・権現山~小女郎ヶ池~(#83)
滋賀県・権現山からホッケ山を経て蓬莱山を目指す途中、稜線から偶然見つけた小女郎ヶ池(こじょろうがいけ)。1977年の文献「比良の詩」をもとに、比良山地に点在する池塘9箇所(八雲ヶ原・スゲ原・オトシ・ノタノホリ・音羽池・カシラコ池・杉ヤ池・長池)の位置と現在の姿を整理しました。



打見山(1,108m)の山頂までロープウェイで上がれます。歩かずに比良の稜線に立てる、唯一といっていい場所です。

びわ湖バレイにいこー❗️ ~ゴンドラに乗って楽ちんハイク~(#t)
滋賀県大津市のびわ湖バレイへ。ロープウェイ5分で打見山、リフトで蓬莱山山頂まで。あわせて、1965年開業の前身サンケイバレイにあった「カーレータ」(全長2km・標高差800m・毎時3,000人)を当時の資料と空中写真から辿ります。






雪原を独り占め!最高でした。今シーズンはここでスノーシューデビューを果たす(たぶん)

[ 雪原を独り占め❗️ ] ~蛇谷ヶ峰~(#76)
奥比良の蛇谷ヶ峰へ2月に。朽木スキー場から入る入部谷越ルートで、雪原を独り占めしてきました。山名の由来を1939年の文献から辿ると、山頂から南東へ流れる「蛇谷」に由来し、地域によっては「オグラス」とも呼ばれていたことが分かります。登山道は東西南北に4系統7ルート。



池溏巡りができるエリア。標高1,000m弱の窪地に、突然あらわれる水瓶。
高層湿原へのプロセスをツラツラと書いた記事です。

【奥山にひっそりと佇む池塘】{白滝山~オトワ池~長池}#86
高層湿原・中間湿原・低層湿原はどう違うのか。泥炭湿原(陸化型・沼沢化型・後背湿地型)と鉱質土壌湿原(谷壁型・谷底型・疑似型)の分類を、複数の文献をもとに整理しました。比良山地・白滝山のオトワ池と長池を歩いた記録とあわせて。






釈迦岳から北へ延びる、標高500〜700mの尾根。比良の主稜線に比べると低いのですが、ここにも湿原があります。


不思議な湿原でした。明確なポイントがよくわからなかったという言い方がいいのか(?)割と細長く湿地帯が広がっており、ココ!という場所が明確ではありませんでした。自身で掘り下げて、自身で(なんとなく)解決した記事となります。

【地図にない湿原を目指す❗️】~リトル比良・オトシ湿原~(#90)
比良山地北部、標高500m台に残る「オトシ湿原」。滋賀県が選定する「大切にすべき植物群落」には比良オトシの湿原(101)と比良寒風峠の湿原(105)の2箇所が挙げられており、標高から現地で位置を推定しました。江戸時代の道標やクマ剥ぎの痕跡も。






比良山地は、関西でもっとも池塘と湿原の密度が高い山域だと思います。歩いて確認できたものを並べておきます。

名称エリア特徴
八雲ヶ原湿原北比良関西の尾瀬ヶ原と呼ばれる高層湿原
ノタノホリ北比良堂満岳の近く、訪れる人の少ない池
小女郎ヶ池南比良比良でもっとも知られた池塘
オトワ池・長池奥比良標高1,000m弱の窪地に現れる水瓶
オトシ湿原リトル比良地図に載っていない湿原






比良山地には、かつてスキー場が複数ありました。いずれも現存していません。

北比良峠一帯にあったスキー場。ロープウェイは2004年に営業を終えています。
※現在営業中の「びわ湖バレイ」のロープウェイとは別のものです。

比良山スキー場を辿る ~釈迦岳~八雲ヶ原~(#68)
旧比良山スキー場の跡地を、釈迦岳から八雲ヶ原湿原へ実際に歩いて辿った記録。施設はほぼ撤去され自然環境への復帰が進むなかで、わずかに残る人工物を探しました。標高1,000m弱の山中に広がる高層湿原も。
今はなき比良山スキー場とは ~滋賀県・比良山地を歩く~(#o)
滋賀県・比良山地の北比良峠と八雲ヶ原にあった比良山スキー場。1961年開業、2004年閉業。比良索道が運営した登山リフト1093mと比良ロープウェイ1249mの記録を、当時の写真と現在の風景を並べて辿ります。営業中のびわ湖バレイとは別の施設です。



現在の朽木スキー場は、実は移転してきたものでした。昭和8年の文献にたどり、跡地を探しに行った記録です。

【そこには不発弾!?】~(旧)朽木スキー場跡地を探して~(第2弾#w)
旧朽木スキー場の跡地を探して、滋賀県高島市の朽木荒川地区へ。地元の方から聞いた当時の様子、1968〜1975年の空中写真による範囲の推測、そして跡地周辺にある陸上自衛隊饗庭野演習場と2025年2月の砲弾落下について。
[恐らく❗️] ~朽木スキー場は移転していた???~(#u)
滋賀県高島市の朽木スキー場は、かつて別の場所にあった。1933年『冬の京都』、1939年『比良連嶺』、1969年『朽木谷学術調査報告書』などの文献から、旧朽木スキー場が蛇谷ヶ峰北側の朽木荒川にあったこと、1982年に入部谷越へ移転した経緯を追いました。






各エリアへのアクセス(特に駐車場)と登山口をご紹介。

山名・山域駐車場登山口
武奈ヶ岳大津市葛川市民センター坊村登山口
八雲ヶ原湿原武奈ヶ岳イン谷口駐車場大山口
釈迦岳旧比良山スキー場リフト乗り場前駐車場近く
小女郎ヶ池登山口前駐車場霊仙山権現山登山口
堂満岳~ノタノホリ武奈ヶ岳イン谷口駐車場駐車場近く
びわ湖バレイびわ湖バレイ駐車場―
蛇谷ヶ峰蛇谷ヶ峰登山道登山者専用駐車場
オトワ池~長池大津市葛川市民センター坊村登山口
リトル比良・オトシ湿原北小松登山口駐車場北小松登山口






14回歩いてきた比良山地。
武奈ヶ岳の展望も良いのですが、私が惹かれるのは池塘と湿原、そして人の手が入り、そして退いていった跡の方です。20kmにもまたぐこの広い山域においてまだまだ手つかずの自然が残っていることに感謝。そしてまだ誰も知らない、行ったことがない池溏・湿原をもとめて、また山に行きます。

こういった形で一度まとめてみました。(恐らく)紹介できていない記事などもあると思いますのでまた整理して皆様に発信していきたいと思います。


Sacorilla